令和２年度 防府胃腸病院 病院指標

消化器外科で扱っている症例は、大きく分けると、がんに代表される悪性疾患に対する手術と、胆石、総胆管結石、虫垂炎、腸閉塞、鼠経ヘルニアなどの良性疾患に対する手術があります。
がんの中で最も多いのは大腸癌（結腸癌＋直腸癌）です。大腸癌は全国的にも年々増加の傾向が見られます。２番目が胃癌です。
良性疾患で最も多い症例は、鼠経ヘルニアに対して腹腔鏡下鼠経ヘルニア手術、鼠経ヘルニア手術を行った症例です。このうち、約80％を腹腔鏡下手術で行っています。２番目は、胆嚢結石症や胆嚢炎に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った症例です。

最も多い症例は、大腸ポリープの内視鏡的切除で、ほとんどの方が一泊二日で退院されます。次いで多い症例は、大腸憩室症の入院でした。4番目が腸閉塞の入院で、その他では、早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）が22例ありました。上部消化管疾患、虚血性腸炎、腸炎、誤嚥性肺炎などが続いて多くなっております。

腹腔鏡下鼠経ヘルニア手術、胆のう結石症や胆のう炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術が多くなっております。外科では上記以外にも胃癌、大腸癌、膵臓癌、肝臓癌などに対する手術など、年間250件の手術を行っており、身体的負担の少ない鏡視下手術については135件行っています。直腸切除術に関しては、開腹、腹腔鏡それぞれの切除術、低位前方切除術、超低位前方切除術、切断術を合わせると18件ありました。同様に、結腸切除術（小腸含む）は44件、胃切除術は25件でした。さらに腹腔鏡下虫垂切除術が24件と上位となっております。その他臓器別に挙げると、胆のう・胆道系の手術が48件、肝臓が4件、膵臓が2件でした。2019年1月から肛門外科を開設しております。入院費用の計算が「DPC/PDPS（診断群分類を用いた定額支払い）方式」ではないため、本項の集計対象外ですが、肛門疾患の手術は103件でした。

大腸内視鏡検査で見つかったポリープや大腸腫瘍（良性または悪性）に対する内視鏡的切除術が最も多くなっております。入院当日に切除し、1-2日程度で退院されます。次いで、内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術（ESD・EMR）が多く、良性・悪性合わせると31件でした。胆管結石などによる狭窄・閉塞に対しての内視鏡的治療として内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術（ＥＮＢＤ）、内視鏡的胆道拡張術、内視鏡的胆道ステント留置術、内視鏡的胆道結石除去術も多くなっております。合計すると51件でした。その他では、早期食道癌に対する、内視鏡的食堂粘膜切除が9件、早期大腸癌に対する、早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術（ESD）が2件ありました。