一般財団法人 防府消化器病センター

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内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)・内視鏡的治療endoscope

大腸内視鏡検査について

できるだけ痛みの少ない
大腸内視鏡検査に取り組んでいます 消化器内科部長 藤原純子

大腸がんが増えています

 昨今、大腸がんの増加が報告されています。消化管のがんはかなり進行しないと症状が出現しません。進行大腸がんでは、腸管内で腫瘍が増大することによって便通が悪くなり、腹痛をきたしたり、便が腫瘍と擦過することで出血をきたしたりするようになります。しかし、腫瘍がかなり増大するまで無症状の方が多いというのが実際です 。
 一方で、大半の大腸がんは大腸ポリープからの発育であることがわかっており、内視鏡検査でポリープを早期に発見し、切除しておくことで大腸がんの予防が可能です。

小さい病変は外来で治療します

 大腸ポリープは10mmを超えると担がん率が3割とも言われています。当院では外来検査で10mm未満の小型病変についてはコールドポリペクトミーによる外来治療、それ以上のものについては術後出血のリスクに配慮し入院での治療をお勧めしています。
 特に、最近は狭心症や脳梗塞などの再発予防のために抗血栓剤を内服しておられる方が増加しており、術後出血には十分な配慮が必要と考えています。
 また、20mm以上の大型病変については、がんの可能性があれば、病変を一塊で切り取る一括切除を目的とした ESD(内視鏡的大腸粘膜下層剥離術)を選択し、良好な治療成績を得ています。

痛みが不安、という方にも対応しています

 なかには、以前、大腸内視鏡検査を受けて、「盲腸まで到達するのが難しかった」「痛みがとても強かった」という方もいらっしゃると思います。
 当院では、鎮静剤の使用をふくめ、痛みの少ない内視鏡検査をご提案しています。大腸がんで苦労される方が一人でも少なくなるよう努めていきたいと思っています。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で
治癒が得られた早期大腸癌

食道がん
Esophageal Cancer

食道がんは、胃がんや大腸がんよりも早い時期からリンパ節転移を伴いやすく低侵襲治療である内視鏡切除で治癒をめざすには早期発見が重要です。とくに飲酒量の多い中高年の男性に多い病気です。

内視鏡治療の適応

がんが粘膜の表面にとどまり、リンパ節転移がない病変では内視鏡的に切除することが可能です。
これまでの診療実績から、病変の深さごとに転移の率が明らかになっており、その深さによって、食道温存が可能か否かを判断し、治療方針を決定します。
T1a-EPあるいはT1a-LPMの癌ではリンパ節転移がほとんどないため、内視鏡治療の良い適応です。T1a-MMあるいはT1b-SM1癌ではリンパ節転移の頻度は、10-20%です。この深さの癌では、CTなどで明らかな転移が認められない場合は、診断的に内視鏡治療を行って、切除検体の病理組織結果を確認し、手術や放射線治療の適応を決めることも可能です。T1b-SM2,T1b-SM3の病変では、リンパ節転移は40%以上にみられるため、内視鏡治療単独での治療はおすすめできません。
これらの基本的な治療方針は、日本食道学会の食道癌治療ガイドラインに示されています。

食道がんの深達度分類
食道がんの深達度分類

治療適応の判断

病変が内視鏡切除で治療可能かどうか、NBI併用拡大内視鏡検査、超音波内視鏡検査を行って治療適応の判断をする場合もあります。

NBI併用拡大内視鏡検査
NBI併用拡大内視鏡検査

治療の実際

10mm程度までの小病変はEMRC法、それ以上の病変はESD法を選択しています。
1)EMRC(endoscopic mucosal resection):透明プラスチックキャップを用いて、病変部にスネアをかける方法です。

2)ESD(endoscopic submucosal dissection):ナイフを用いて、病変を切り取る方法で、大きな病変でも一括切除が可能です。

検体径41×33mm大,病変径32×27mm大
検体径41×33mm大,病変径32×27mm大

治療には1週間程度の入院が必要です。

広範囲切除後の狭窄予防法(ステロイド局所注射療法)

食道は臓器の管腔の径が約2cmしかないため、横幅の広い病変を切除すると、切除後潰瘍が治癒する際に術後食道狭窄をきたして食事がとりづらくなる場合があり、半周を超える切除を行った場合は治療直後に潰瘍底にステロイド(トリアムシノロン液)を局所注射し、狭窄予防を行っています。

《担当医よりひとこと》

東京のがん専門病院で1000病変を超える食道表在がんに対して内視鏡診断と治療を行ってきました。その実績をもとに、早期発見につとめ低侵襲治療により完治が望めるよう日々診療しています。また、多量飲酒歴のある方は病変の多発傾向や咽頭がんの発生にも注意が必要です。QOLの維持が可能な低侵襲治療を選択するためには内視鏡検診が有効です。
消化器内科 藤原純子

胃がん
Stomach Cancer

胃がんは、ピロリ菌感染に伴う慢性胃炎保持者に多い病気ですが、陰性者にも稀に未分化型癌や胃底腺型癌の発生があり、内視鏡切除で治癒をめざすには内視鏡検診による早期発見が重要です。
また、ピロリ菌除菌後の方も除菌のみで胃癌の発症を完全に抑制することはできないため、検診の継続が望まれます。

胃がんの深達度分類
胃がんの深達度分類

内視鏡治療の適応

胃癌治療ガイドラインに準じて治療適応を決定しています。

1.絶対適応病変 肉眼的粘膜内癌(T1a)、分化型癌、潰瘍形成なし(大きさを問わない)
3cm以下の肉眼的粘膜内癌(T1a)、分化型癌、潰瘍形成あり
2.適応拡大病変 2cm以下の内視鏡的粘膜内癌(T1a)、未分化型癌、潰瘍形成なし

治療の実際

ESD(endoscopic submucosal dissection):ナイフを用いて、病変を切り取る方法で、大きな病変でも一括切除が可能です。切除度の判定、局所再発を予防する観点から一括切除が望ましいとされています。

検体径47×38mm大,病変径31×20mm大

 

検体径47×38mm大,病変径31×20mm大

治療には1週間程度の入院が必要です。
内視鏡切除後、ピロリ菌陽性の患者さんには異時性病変発生抑制の目的から除菌治療をおすすめしています。

大腸ポリープ・大腸がん
Colorectal Polyp/Colorectal Cancer

腸ポリープや大腸がんなどの腫瘍性病変は、茎のあるいわゆるポリープはスネアで絞扼切除、2cm程度までの表面型大腸腫瘍は粘膜切除術(EMR)、大きな病変やEMRで切除困難な病変は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で切除します。

大腸ポリープの治療は後出血予防の観点から1泊2日の入院で行っています。4-5mm程度の小病変については後出血のリスクの少ないコールドポリペクトミー(高周波装置を用いない)を選択可能な場合もあります。ただし、小病変であっても担癌の場合もあり、病変に応じた治療選択をご提案します。大腸ポリープは大きくなるほど癌化率が高くなり、5mm未満では0.2%、6~10mmでは5%、11-15mmでは37%と報告されています。2017年のがん統計によると大腸がん死亡者数は、肺がんについで第2位となっており大腸がんは身近な疾患といえます。

大腸がんの内視鏡切除については、粘膜下層の浅層までで腸管外のリンパ節に転移がないケースがよい適応とされています。
内視鏡的に切除した検体は病理学的によく検証し、がんが残っている恐れのあるケースでは外科手術を追加します。

治療成績
治療成績

胆膵内視鏡(ERCP)について
ERCP

内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)とは

内視鏡を使って胆管・膵管を造影する検査を内視鏡的逆行性胆管膵管造影(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography :ERCP)といいます。最近は造影検査に引き続いて行う治療まで含める事も多いです。適応疾患として、総胆管結石や慢性膵炎に伴う胆管狭窄などの良性疾患の他、胆管癌や膵癌などの悪性疾患の診断や手術前の検査、さらに黄疸や胆管炎などの緊急事態に対する治療などが挙げられます。

内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)とは

検査のながれ

一般的な内視鏡検査(胃カメラなど)と違い、検査のみの場合でも15~30分、治療まで含めれば1時間以上かかる場合もあります。そのため、検査は鎮静剤を使用し、眠っている状態で行います。
専用の内視鏡を口から十二指腸まで挿入します。十二指腸には、乳頭部と呼ばれる膵管・胆管の出口があります。乳頭まで到達すると、今度は内視鏡の先端からカテーテルと呼ばれる細い管を出し、膵管・胆管の中に挿入します。カテーテルから造影剤を入れて、膵管や胆管のX線写真をとります。同時に膵液や胆汁を採取したり、病変部から組織や細胞を取って検査を行うことができます。さらに、引き続き以下の治療を行うことがあります。

治療法

内視鏡的乳頭切開術(EST) 乳頭を専用の電気メスで切開します。
内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD) 乳頭を専用のバルーンで膨らませ、胆汁の流れを改善します。
内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(ERBD) 胆道内にプラスチックのチューブを留置し、胆汁の流れを改善します。
内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD) 胆道内に挿入したチューブを鼻から出し、体外に胆汁を排出します。
内視鏡的胆管結石除去術(EL) 胆管内に詰まっている結石を専用の器具で掻き出し、胆汁の流れを改善します。
内視鏡的胆管/膵管ステント留置術(EBS/EPS) 癌などで胆管や膵管が狭窄してしまった部位に留置し、胆汁や膵液の流れを改善します。
治療法

合併症と偶発症

検査および治療の際の合併症として、急性膵炎、胆管炎、消化管穿孔、出血等が挙げられます。また、誤嚥などによる肺炎にも注意が必要です。

急性膵炎 検査や治療に伴う操作で乳頭が腫れたり、膵臓自体に負担がかかることで膵炎が起こることがあります。起こる確率は5~7%と言われています。膵炎の既往がある方や女性はリスクが高く注意が必要です。膵炎が起こった場合は一時的に絶食治療を行うことがあります。
胆管炎 造影検査により胆管に圧がかかり発熱や悪寒の原因となることがあります。
消化管穿孔 検査や治療に伴う操作で乳頭や胆管、十二指腸に孔があく可能性があります。(検査全体の0.2%前後)場合により緊急の処置や手術が必要となることがあります。
出血 ESTやEPBD等の治療により出血することがあります。多くは自然に止血しますが、場合により緊急の処置が必要となることがあります。

検査が困難な場合は?

乳頭の位置や形状、また炎症や癌によって狭窄が強くカテーテルが入らないことがあります。その場合は体外から直接肝内の胆管を穿刺し管を挿入する経皮経管胆道ドレナージ(PTCD)という治療に切り替えることがあります。
(文責:柿本)

ERCP

内視鏡検査・治療の受診About Consultation

《お願い》
現在、内視鏡検査件数が増加しており、当日予約外の検査をお断りせざるを得ない場合がございます。患者様に当院での内視鏡検査をご紹介いただく場合には、お手数をおかけいたしますが、お問合せいただきますよう、患者様にお知らせくださいませ。どうぞよろしくお願いいたします。
月曜日は九州大学の内視鏡専門医が内視鏡検査を行っています。
火曜日は山口大学の内視鏡専門医が内視鏡的治療を目的とした検査・治療を行っています。


月曜日 九州大学第二内科 松野雄一
丸岡浩人(内視鏡専門医)
火曜日 山口大学大学院医学系研究科
保健学科基礎検査学 教授 西川潤
水曜日 藤原崇(藤原胃腸科内科)
仁田畑智紀(日本消化器内視鏡学会専門医)
木曜日 山口大学第一内科 川本大樹
火・水・木曜日
診察日は月曜日
藤原純子(日本消化器内視鏡学会 指導医)
月~金曜日 常勤医師

医師紹介ページ

内視鏡担当医師紹介

九州大学大学院医学研究院 病態機能内科学(第二内科)(月曜日)

  • 助教 松野雅浩

    助教 松野雄一

山口大学大学院 医学系研究科 保健学科 基礎検査学(火曜日)

  • 教授 西川潤

    教授 西川潤

藤原胃腸科内科(水曜日)

  • 藤原崇

    藤原崇

山口大学第一内科(木曜日)

  • 川本大樹

    川本大樹

消化器検査件数

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