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胃腸科コラム・広報誌 COLUMN

Dr.岡崎の胃腸とこころ 8 中学野球部新主将の苦悩(急性胃潰瘍)

2014.04.15

胃腸とこころ 8

 

一般財団法人 防府消化器病センター 研究所長 岡崎幸紀

 

中学野球部新主将の苦悩  急性胃潰瘍

  ある秋の水曜日の早朝、中学2年生の男子生徒が、腹痛と吐血のため緊急検査の依頼で紹介されてきました。陽に焼けた体格の良い少年でした。

 診察上、みぞおちにかなり強い圧痛がありましたが、腹膜炎の疑いはなく、血液検査では軽度の貧血が観られました。とくに誘因はないとのことで、付き添ってきた母親も思い当たることはないと言いました。

 本人を説得し緊急内視鏡検査(胃カメラ)を行いましたところ、胃の出口の近くに15mmから20mmの大きさの形のいびつな潰瘍が3か所に認められ、いずれの潰瘍にもべったりと血の塊が付着していました。典型的な急性潰瘍で、誘因(きっかけ)は精神的なストレスか薬剤が関係しています。

 本人も母親も、常用している薬の服用も無いしストレスも感じなかったとのことでした。

そこで最近の学校のことやクラブ活動、さらには子供のころからの性格や習慣について尋ねてみました。真面目で責任感の強い子で、小さい頃から野球が好きで、クラブ活動は野球部で最近新しい主将になった、と言うのが二人の答えでした。野球の話の際に、本人の顔が緊張したことが気になったので、母親に原因が不明なのでもう一度診察したいと説明し、待合室に行ってもらいました。

「新しい主将になるといろいろと問題が起こりやすく、何かあったのではないか、悩んでいるのではないか・・・」と聞きましたが、黙っていて答えませんでした。少し時間をおいて、「潰瘍の原因がわからないとまた出血したり、治りが遅くなるが」と説明するとやや時間をおいてやっと話し始めました。

「1カ月前に新主将に選ばれ、チームをまとめるのに苦労していたが、先週末に近郷の中学校新人戦があり1回戦で大敗した。これまでにない負け方で、試合後監督からひどく怒られ、主将のお前の責任だ辞めてしまえ、と30分ぐらい怒鳴られ続けた。ただし、体罰は受けなかった。その日は夜も寝られず悶々とし日曜日にも考え続けた結果、確かに自分の責任であろうと考え野球部を辞めることを考えた。月曜日に監督に話そうとしたがなかなか2人になれず、言いだせなかった。家に帰ったころからおなかが痛くなり、翌日はさらに強くなって学校を休み近くの先生に診てもらって薬を飲んだ。しかし痛みは止まらず、今朝、黒いような赤いような血を吐いた。野球部のことは両親にも相談できなかったし、好きな野球を辞めることは辛かった」とのことでした。

 潰瘍の治療は紹介された先生にお願いするとして、誘因となった監督との経緯が問題でした。本人の了解を得て、まず母親に話しますと、母親はそれほど悩んでいたことに気が付かなかったと泣かれました。話し合った末、本人が主将は辞めるとしても野球は続けたいと監督に話し、また、学校を休んだので病気のことは母親から説明してもらうことにして、本人はようやくほっとした顔で帰って行きました。

 後日、紹介医から、監督も「言い過ぎて申し訳なかった、一緒にチームの立て直しをやろう」と言って手を握り合ったと母親が話していました、と連絡がありました。後日の新聞では、この中学校の野球部は地域の大会で準決勝まで進んでいました。

 

財団法人 防府消化器病センター

研究所長 岡崎幸紀

 山口県防府市の新聞 防日新聞に連載中!

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新聞社名:防日新聞社 山口県防府市寿町1-2

掲載新聞:防日新聞 第6317号 平成25年10月22日掲載

項目   :胃腸とこころ 8  「中学野球部新主将の苦悩」 急性胃潰瘍 

著者   :財団法人 防府消化器病センター 研究所長 岡崎幸紀 

       日本消化器病学会名誉会員・指導医

       日本消化器内視鏡学会功労会員・指導医

 

 

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